サービスの種類だけで月6.7万円違う
厚生労働省が毎年実施している「介護従事者処遇状況等調査」の令和6年度版に、介護職員(月給・常勤)の平均給与額がサービスの種類別に出ています。
介護職員(月給・常勤)の平均給与額・サービス種類別(令和6年9月)
| サービスの種類 | 令和6年9月 | 令和5年9月 | 差 |
|---|---|---|---|
| 介護老人福祉施設(特養) | 361,860円 | 346,970円 | +14,890円 |
| 特定施設入居者生活介護 | 361,000円 | 345,700円 | +15,300円 |
| 介護老人保健施設(老健) | 352,900円 | 338,510円 | +14,390円 |
| 訪問介護 | 349,740円 | 332,810円 | +16,930円 |
| 介護医療院 | 330,030円 | 314,320円 | +15,710円 |
| 通所リハビリテーション | 319,310円 | 307,830円 | +11,480円 |
| 小規模多機能型居宅介護 | 305,220円 | 294,750円 | +10,470円 |
| 認知症対応型共同生活介護(GH) | 302,010円 | 290,190円 | +11,820円 |
| 通所介護(デイ) | 294,440円 | 283,570円 | +10,870円 |
| 全体 | 338,200円 | 324,240円 | +13,960円 |
最も高い介護老人福祉施設(361,860円)と、最も低い通所介護(294,440円)の差は月67,420円。単純に12倍すると年間約81万円です。同じ「介護職員・月給・常勤」というくくりの中で、これだけ開いています。
傾向としては、入所系(特養・老健・特定施設)が高く、通所系(デイ)が低いという並びになっています。夜勤の有無がそのまま手当に反映されるためで、この平均給与額には夜勤手当も含まれています。訪問介護が349,740円と入所系に近い水準にあるのも、この調査の数字を見るまで意外に感じる部分かもしれません。
10年勤めるより、場所を変える方が動く
ここが、この記事でいちばん伝えたい部分です。同じ調査には勤続年数別の平均給与額も出ています。
介護職員(月給・常勤)の平均給与額・勤続年数別(令和6年9月)
| 勤続年数 | 平均年齢 | 令和6年9月 | 令和5年9月 |
|---|---|---|---|
| 1年(1年〜1年11か月) | 40.4歳 | 298,760円 | 265,970円 |
| 2年 | 40.5歳 | 309,630円 | 296,920円 |
| 3年 | 42.2歳 | 316,080円 | 297,880円 |
| 4年 | 42.7歳 | 322,370円 | 308,120円 |
| 5年〜9年 | 45.3歳 | 335,640円 | 322,240円 |
| 10年以上 | 48.9歳 | 359,040円 | 347,640円 |
勤続1年(298,760円)から10年以上(359,040円)まで、9年以上かけて上がる幅が月60,280円です。
ここでさきほどの数字と並べてみてください。
通所介護 → 介護老人福祉施設 … 月67,420円(転職で動く)
サービスの種類を変えることで動く金額の方が、9年間の勤続で積み上がる金額より大きいという結果です。もちろん実際には、勤続を重ねながら施設の種類も変えるという両取りもできますし、逆に転職すれば必ずこの差額が手に入るわけでもありません。ただ、「今の職場で耐えて上げる」以外に選択肢があることは、数字として示されています。
資格はどこまで効くのか
保有資格別の平均給与額も公表されています。
介護職員(月給・常勤)の平均給与額・保有資格別(令和6年9月)
| 保有資格 | 平均勤続年数 | 令和6年9月 | 令和5年9月 |
|---|---|---|---|
| 社会福祉士 | 9.3年 | 397,620円 | 377,210円 |
| 介護支援専門員(ケアマネ) | 14.0年 | 388,080円 | 377,600円 |
| 介護福祉士 | 10.4年 | 350,050円 | 337,160円 |
| 実務者研修 | 6.9年 | 327,260円 | 313,490円 |
| 介護職員初任者研修 | 8.8年 | 324,830円 | 311,290円 |
| 資格なし | 5.8年 | 290,620円 | 271,080円 |
| 全体 | 9.5年 | 338,200円 | 324,240円 |
介護福祉士(350,050円)と資格なし(290,620円)の差は月59,430円、年間で約71万円です。ただしここは慎重に読む必要があって、平均勤続年数が10.4年と5.8年で倍近く違います。資格の効果と勤続の効果が混ざった数字なので、「資格を取れば月6万円増える」とは読めません。
それでも、社会福祉士(397,620円)と介護支援専門員(388,080円)が頭ひとつ抜けているのは確かです。介護福祉士との差は月4〜5万円あります。資格取得を長期の投資として考えるなら、この2つが到達点として見えているということになります。
この1年で1.4万円上がっている
上の表を見て気づいた方もいると思いますが、令和5年9月と令和6年9月の比較で、すべての区分が増えています。全体では324,240円から338,200円へ、1年で13,960円の増加です。サービス種類別に見ても、9つすべてで1万円以上増えています。
これは介護職員等処遇改善加算などの施策が反映されているためで、この調査の対象事業所の95.5%が加算を取得(届出)済みです。裏を返せば、加算を取っていない4.5%の事業所で働いている場合、この上昇の外側にいるということになります。
平均給与額は「基本給(月額)+手当+一時金(4〜9月支給額の1/6)」で、手当には夜勤手当・通勤手当・家族手当・時間外手当が含まれます。令和5年9月30日と令和6年9月30日の両方に在籍している人の比較です。
上がる転職と、上がらない転職の分かれ目
ここまでの数字を踏まえると、給与が動く条件は整理できます。
| パターン | 給与への影響 | 理由 |
|---|---|---|
| 通所系から入所系へ移る | 上がりやすい | サービス種類間で月6.7万円の水準差がある(夜勤との引き換え) |
| 訪問介護へ移る | 上がることがある | 349,740円と入所系に近い水準にある |
| 加算を取得している事業所へ移る | 上がりやすい | 未取得の4.5%は処遇改善の外側にいる |
| 介護福祉士を取得して移る | 上がることがある | 資格手当の設定は事業所ごとに差がある |
| 同じサービス種類・同規模へ移る | 横ばい | 箱が変わっていないため構造的に上がらない |
| 入所系から通所系へ移る | 下がりやすい | 夜勤手当がなくなる分がそのまま減る |
最後の「入所系から通所系へ移る」は、下がると分かったうえで選ぶなら何も問題ありません。夜勤をやめる判断は、金額以外の理由で十分に正当です。問題なのは、下がると気づかないまま決めてしまうことです。
求人サイトだけで探すと不利になる理由
1. 加算の取得状況と配分が求人票から読めない
介護職員等処遇改善加算は、事業所が取得しているかどうかに加えて、取得した加算をどう職員に配分するかにも幅があります。加算Ⅰを取っている事業所は全体の45.7%で、加算の種類によって金額が変わります。求人票の月給欄からこれを読み取ることはできません。同じ「特養・正職員・月給25万円〜」でも、実際の年収が数十万円違うということが起こります。
2. 夜勤回数の想定が書かれていない
入所系の給与が高いのは夜勤手当が乗っているからですが、求人票の月給に何回分の夜勤が含まれているかは明記されないことが多いです。月4回想定と月6回想定では、当然ながら手取りも負担も変わります。比較するときは、必ず想定夜勤回数をそろえてください。
介護職専門のエージェントは、事業所ごとの加算取得状況や夜勤体制、離職の状況といった、求人票に載らない情報を持っていることがあります。求職者側の費用は無料で、料金は採用が決まった時に採用側が負担する仕組みです。2〜3社を併用して比較するのが基本形になります。エージェントごとに付き合いのある法人が違うため、1社だけだとその会社が持っている求人の中でしか比較できません。
動く前に、自分の適正年収を確かめる
ここまで読んで「では自分はいくらもらえるはずなのか」が分からないと、結局は動けません。そして、この基準を持たないまま相談に行くと、提示された条件が高いのか安いのかを判断できないまま話が進みます。
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よくある質問
介護職の平均給与はいくらですか?
厚生労働省の「令和6年度 介護従事者処遇状況等調査」では、処遇改善加算を取得している事業所の介護職員(月給・常勤)の平均給与額は、令和6年9月時点で338,200円(平均勤続9.5年・平均年齢45.7歳)でした。この平均給与額は基本給(月額)に手当と一時金(4〜9月支給額の1/6)を加えたもので、手当には夜勤手当・通勤手当・家族手当・時間外手当が含まれます。
介護の職場はサービスの種類でどれくらい給料が違いますか?
同じ調査で、介護老人福祉施設が361,860円、特定施設入居者生活介護が361,000円、介護老人保健施設が352,900円、訪問介護が349,740円である一方、通所介護は294,440円、認知症対応型共同生活介護は302,010円、小規模多機能型居宅介護は305,220円でした。最も高い介護老人福祉施設と最も低い通所介護の差は月67,420円で、単純に12倍すると年間約81万円になります。
介護福祉士の資格を取ると給料はどれくらい上がりますか?
同じ調査の保有資格別では、介護福祉士が350,050円、資格なしが290,620円で、差は月59,430円でした。年間では約71万円に相当します。さらに社会福祉士は397,620円、介護支援専門員(ケアマネジャー)は388,080円と、介護福祉士よりも高い水準です。ただし平均勤続年数がそれぞれ異なるため、資格だけによる差ではない点に注意が必要です。
長く働けば介護の給料は上がりますか?
上がりますが、上がり幅には限りがあります。同じ調査の勤続年数別では、勤続1年が298,760円、10年以上が359,040円で、差は月60,280円でした。一方、サービスの種類による差は月67,420円あり、勤続年数による差を上回ります。つまり10年勤め上げるよりも、働く場所の種類を変える方が金額としては大きく動く可能性があります。
介護職の給料は最近上がっていますか?
上がっています。同じ調査で令和5年9月と令和6年9月を比較すると、介護職員(月給・常勤)の平均給与額は324,240円から338,200円へ、1年で13,960円増えました。調査対象のすべてのサービス種類で1万円以上の増加が確認されています。なお、介護職員等処遇改善加算を取得している事業所は全体の95.5%です。
夜勤をせずに給料を上げる方法はありますか?
この調査の数字からは、夜勤を伴わない形での大きな増加は読み取れません。入所系の給与が高いのは夜勤手当が含まれているためです。夜勤を増やさずに動かせる要素としては、介護支援専門員(ケアマネジャー)や社会福祉士といった資格の取得、および処遇改善加算の取得・配分が手厚い事業所への移動が候補になります。