介護の仕事は、何歳から始める人が多いのか
厚生労働省の「令和6年度 介護従事者処遇状況等調査」で、勤続年数別の平均給与額を見ると、最初の区分は「勤続1年(1年〜1年11か月)」で、平均年齢は40.4歳となっています。新卒で入って1年目の職員が中心なら、平均年齢はもっと若い数字になるはずです。40代が平均になるということは、この職種に他業種からの転職者が相当数含まれていることを示しています。
介護職は資格の有無にかかわらず働き始められる職種で、実務者研修や介護職員初任者研修も、働きながら取得できる設計になっています。そのため、20代・30代で別の仕事をしていた人が、家庭の事情やキャリアの見直しをきっかけに、40代で介護の仕事を選ぶというケースが一定数存在します。平均年齢40.4歳という数字は、そうした「未経験からの転職」がこの業界では珍しくないという構造を裏づけています。
この調査ではもう一つ、見逃せない数字が出ています。介護職員(月給・常勤)全体の平均給与額は、令和5年9月の324,240円から令和6年9月には338,200円へと、1年で13,960円増えました。サービス種類別に見ても9区分すべてで1万円以上の増加が確認されています。これは個々の事業所の努力というより、介護職員等処遇改善加算などの施策が広く反映された結果です。調査対象事業所の95.5%がこの加算を取得済みという状況からも、業界全体に賃上げの追い風が吹いていることが読み取れます。
つまり、これから介護の仕事を始めようとしている40代の方にとっては、「今から入っても遅い」と考える必要はありません。平均年齢40.4歳という数字自体が、この年代からのスタートが標準的な選択肢であることを物語っていますし、賃金水準そのものも右肩上がりの局面にあります。ただし、この時点での平均給与298,760円は、あくまで勤続1年目の水準です。ここからどう給与が動いていくかは、次のセクションで勤続年数を追って見ていきます。
勤続2年目から4年目、月給は少しずつ動く
厚生労働省の「令和6年度 介護従事者処遇状況等調査」では、勤続年数ごとの平均給与額が1年刻みで示されています。勤続2年(平均年齢40.5歳)で309,630円、勤続3年(42.2歳)で316,080円、勤続4年(42.7歳)で322,370円と、年を追うごとに数字は着実に増えています。ただし、その増え方は決して大きくありません。
2年目から3年目にかけての上昇幅は6,450円、3年目から4年目にかけては6,290円です。前年(勤続1年・298,760円)から2年目への上昇が10,870円だったことと比べると、伸び幅はやや小さくなっています。年間で1万円弱、月にすればおよそ500〜900円という計算です。基本給がベースアップするというより、勤続手当や経験に応じた小さな加算が少しずつ積み上がっていくイメージに近い数字といえます。
この期間で注目したいのは、平均年齢が40.5歳から42.7歳へと2歳以上上がっている点です。介護職は年齢を重ねてから勤続年数を積む人が多いため、勤続2〜4年という区分にはすでに40代前半の職員が多く含まれています。20代で入って着実に昇給していくというより、40代で始めた仕事の給与が、数年かけて緩やかに追いついていく過程と見た方が実態に近いかもしれません。
この時期の昇給がどこまで期待できるかは、勤続年数だけでなく、事業所がどんな昇給ルールや手当の仕組みを持っているかにも左右されます。数千円単位の差がどこから生まれているのかは求人票だけでは分かりにくく、こうした昇給の内訳を実際の求人ベースで把握しているに確認すると、同じ勤続年数でも事業所によって差が出ている理由が見えてくることがあります。3年、4年と勤めた先に何を期待できるかを、早い段階で確かめておく価値はあります。
勤続5〜9年、平均45.3歳という中間地点
厚生労働省の同じ調査には、勤続年数別の平均給与額も出ています。勤続5〜9年の区分では、平均年齢45.3歳で335,640円です。勤続1年(298,760円)からここまでで、上がった額は36,880円にとどまります。
勤続年数の区切り方に注目してください。1年・2年・3年・4年までは1年刻みで数字が出ていますが、そこから先は「5年〜9年」という5年分がひとまとめの区分になっています。つまり勤続5年で335,640円になっているとは限らず、勤続9年でもまだこの水準にとどまっている可能性があるということです。区分の中でどこに位置しているかによって、実際の手取りは変わってきます。
| 勤続年数 | 平均年齢 | 令和6年9月 |
|---|---|---|
| 1年 | 40.4歳 | 298,760円 |
| 4年 | 42.7歳 | 322,370円 |
| 5年〜9年 | 45.3歳 | 335,640円 |
4年目(322,370円)から5〜9年区分(335,640円)への伸びは13,270円です。1年から4年までの3年間で23,610円上がっていたのに対し、5〜9年の区分に入ると、そこから先の伸びしろが数字上は見えにくくなります。実際には5年目と9年目とでは差があるはずですが、公表データがこの粒度である以上、勤続年数を重ねるほど1年あたりの上昇ペースは緩やかになっていく、という傾向として読むのが妥当です。
ここまでの上昇36,880円を、勤続年数の下限で割ると1年あたり約9,220円(4年で割った場合)、上限の9年で割ると1年あたり約4,100円まで下がります。同じ職場で年数を重ねる昇給ペースが、後半になるほど鈍っていくという構造が、この区分の存在自体からも読み取れます。
10年以上勤めて、ようやく359,040円
厚生労働省の同じ調査で、勤続年数別の平均給与額もわかります。勤続1年(1年〜1年11か月、平均40.4歳)で298,760円だったところから、勤続2年309,630円、3年316,080円、4年322,370円、5〜9年335,640円と積み上がり、勤続10年以上(平均48.9歳)でようやく359,040円に到達します。
勤続1年から10年以上まで、上がった幅は月60,280円です。この金額自体は決して小さくありませんが、そこに到達するまでにかかった時間を見落とさないでください。1年目の298,760円から10年以上の359,040円まで、あいだに9年以上が挟まっています。1年あたりに換算すると、月6,000円強のペースでしか上がっていない計算です。
| 勤続年数 | 平均年齢 | 令和6年9月 |
|---|---|---|
| 1年(1年〜1年11か月) | 40.4歳 | 298,760円 |
| 2年 | 40.5歳 | 309,630円 |
| 3年 | 42.2歳 | 316,080円 |
| 4年 | 42.7歳 | 322,370円 |
| 5〜9年 | 45.3歳 | 335,640円 |
| 10年以上 | 48.9歳 | 359,040円 |
ここで確認しておきたいのは、この数字が「勤続10年で頭打ちになる」という意味ではないということです。10年以上という区分自体が幅を持った括りであり、それより先の伸びがこの調査からは読み取れません。つまり見えているのは、10年目にたどり着くまでの道のりが長いという事実であり、10年目以降どうなるかではありません。40歳前後で始めた場合、この10年間は40代のほぼ全体にあたります。同じ職場に勤め続けて昇給を積み上げるやり方は、時間という代償が大きいペースだと言えます。
この9年以上・月60,280円という上昇幅は、次のセクションで扱う「サービスの種類を変える」という動き方と比べたときに、その大きさがはっきり見えてきます。
時間を待たずに動かす方法は、もう一つある
ここまでの数字が示すのは、時間で給料を上げるより「移る」方が効くという事実です。通所介護から介護老人福祉施設への移動で月67,420円差が生まれますが、これは勤続1年から10年以上まで9年以上かけて積み上がる60,280円より大きい金額です。夜勤手当込みとはいえ、9年待つより先に動く方が数字の上では効率的ということになります。
選択肢はサービス種類の変更だけではありません。資格面では介護福祉士(350,050円)と資格なし(290,620円)の差が月59,430円あり、こちらも9年分の勤続差に匹敵する水準です。さらに、介護職員等処遇改善加算を取得している事業所は全体の95.5%にのぼり、逆に言えば未取得の4.5%にいる場合はこの1年で全体に起きた13,960円の上昇の外側に置かれていることになります。加算取得の有無は求人票だけでは判断がつきにくく、事業所ごとの取得状況や配分を把握しているに確認すれば、応募前にこの差を織り込んだ比較ができます。
ただし、通所系から入所系への移動には注意点がセットで付きます。月6.7万円の差は主に夜勤手当の分であり、夜勤を増やさずに手取りだけを増やす選び方は、このデータからは導けません。逆に入所系から通所系へ移る場合は、夜勤手当がなくなる分だけ給与が下がりやすくなります。どちらも「知らずに下がる」ことが問題であって、夜勤をやめる判断自体は金額以外の理由で十分に成り立ちます。
勤続年数・サービス種類・資格・加算という4つの軸のうち、どれが自分にとって最も動かしやすいかは人によって違います。まずは自分がいまどの段階にいて、どの軸で動けば数字が変わるのかを確認するところから始めるのが順序として合理的です。
いまの自分が、どの段階にいるのかを知る
ここまでの表を、自分の状況に当てはめて考えてみてください。今の勤続年数と平均年齢を照らし合わせると、自分がどの段階にいるかが分かります。勤続5年未満なら、あと数年は緩やかな昇給が続く段階です。勤続5〜9年で頭打ち感を覚えているなら、10年到達まで待っても伸びは月2万円台にとどまります。すでに10年を超えているなら、勤続による昇給はほぼ終わっていて、ここから先は場所を変えるか、資格を取るかの二択になります。
どちらを選ぶかで、動くべきタイミングも変わります。通所系から入所系への移動は今日からでも判断できますが、資格取得は早くて1〜2年の準備期間が必要です。今の自分がどちらの選択肢に近いのか、まず現在地を把握することが最初の一歩になります。
ただし、自分の施設の給与水準が全国平均と比べてどの位置にあるのかは、この記事の数字だけでは分かりません。勤続年数・保有資格・今の月給の3つを入力すれば、平均との差と、動いた場合に見込める金額の幅が出せます。
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よくある質問
介護職は勤続何年で給料が安定してきますか?
厚生労働省の調査では、勤続1年(平均40.4歳)で298,760円、勤続5〜9年(平均45.3歳)で335,640円、勤続10年以上(平均48.9歳)で359,040円でした。9年以上かけて月60,280円上がるペースで、急に増えるわけではありません。
介護職は何歳から始める人が多いのですか?
厚生労働省の調査によると、勤続1年(1年〜1年11か月)の職員の平均年齢は40.4歳でした。勤続10年以上になると平均年齢は48.9歳です。年数を重ねるごとに平均年齢も上がっていく調査結果になっています。
勤続年数を重ねるのと転職するのでは、どちらが給料が上がりやすいですか?
勤続1年から10年以上まで上がる幅は月60,280円でしたが、通所介護から介護老人福祉施設へサービスの種類を変えた場合の差は月67,420円でした。時間をかけて積み上げる額より、働く場所を変えて動く額の方が大きいという結果です。
勤続年数以外に給料を動かす方法はありますか?
サービスの種類を変える(月67,420円の差)以外に、介護福祉士などの資格取得(資格なしとの差は月59,430円)、処遇改善加算を取得している事業所への移動(取得率95.5%)が候補になります。ただし施設による差は夜勤手当を含む点に注意が必要です。
介護職の給料は年々上がっていますか?
上がっています。令和5年9月から令和6年9月にかけて、介護職員(月給・常勤)の平均給与額は324,240円から338,200円へ、1年で13,960円増えました。調査対象の全サービス種類で1万円以上の増加が確認されています。