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看護師の年収を上げる転職とは。
勤務先で決まる仕組みと、動く前にやること

公開: 2026年8月17日

「もっと稼げる職場があるらしい」と聞いても、では自分がいくらもらえるはずなのかは分からない。看護師の年収がどこで決まるのかを整理したうえで、上がる転職と上がらない転職の分かれ目、そして動く前に確かめておくべきことをまとめました。

看護師の年収は「どこで働くか」でほぼ決まる

同じ資格、同じ経験年数、同じ働き方でも、勤務先が違うだけで年収が変わります。看護師の給与を構成しているのは基本給だけではなく、夜勤手当・待機手当・資格手当・賞与といった積み上げで、この積み上げ方が職場ごとにまるで違うからです。

年収を左右する要素を分解すると、おおむね次の4つに収まります。

ここで重要なのは、この4つのうち3つは「転職で変えられる」という点です。今の職場で頑張って上げられるのは主に経験年数と資格の部分ですが、設置主体・規模・夜勤体制は、職場を変えない限り動きません。看護師の年収が「どこで働くか」で決まると言われるのは、このためです。

実際にいくら違うのか

ここまでは仕組みの話です。では実際にどれだけ差がつくのか。日本看護協会が全国の病院を対象に毎年実施している「病院看護実態調査」に、勤続10年・31〜32歳・非管理職と条件をそろえた看護師の月額給与が、設置主体別・病床規模別・都道府県別に出ています。年齢も経験年数も役職もそろえてあるので、ここに出る差は、そのまま「勤務先の違い」だと読めます。

全国平均は基本給与額 250,380円 / 税込給与総額 334,325円(回答3,122病院)。この2つの差である月83,945円が手当の合計で、年間にすると約100万円が手当由来という計算になります。

設置主体別の月額給与(勤続10年・31〜32歳・非管理職)

設置主体回答病院数基本給与額税込給与総額
私立学校法人82274,030円377,683円
日本赤十字社65283,715円370,679円
社会保険関係団体37289,676円367,143円
公立497277,277円354,488円
済生会56269,096円353,242円
国立171267,730円350,582円
社会福祉法人101253,167円338,245円
厚生連65263,241円337,900円
医療法人1,700236,979円321,891円
全体3,122250,380円334,325円

最も高い私立学校法人(377,683円)と、回答病院数が最も多い医療法人(321,891円)の差は月55,792円。年間では約67万円です。同じ資格・同じ年齢・同じ非管理職でこれだけ開きます。そして日本の病院の多くは医療法人立なので、多数派は下の方にいます

病床規模別の月額給与(同条件)

病床規模回答病院数基本給与額税込給与総額
500床以上278277,053円367,565円
400〜499床202265,919円356,773円
300〜399床330261,936円349,128円
200〜299床424250,301円334,951円
100〜199床1,097244,055円327,773円
99床以下786240,992円319,471円

病床規模はきれいな階段になっています。500床以上(367,565円)と99床以下(319,471円)の差は月48,094円、年間で約58万円。規模が大きいほど上がるという傾向は、印象論ではなく実際の数字として出ています。

都道府県別(同条件・税込給与総額の上下)

都道府県基本給与額税込給与総額
東京都264,150円368,280円
神奈川県262,935円360,158円
静岡県264,162円357,721円
愛知県262,178円354,741円
鹿児島県232,450円299,036円
高知県230,475円297,676円
宮崎県232,517円294,968円

最高の東京都(368,280円)と最低の宮崎県(294,968円)で月73,312円、年間約88万円の差があります。ただしこれは生活費の差を含んでいないので、そのまま「東京の方が得」とは読めません。家賃や通勤事情を差し引いて考える必要があります。

新卒の初任給も参考までに。高卒+3年課程卒が基本209,697円/税込276,127円、大卒が基本215,614円/税込284,063円です。大卒と3年課程卒の差は基本給で約6,000円で、想像より小さいと感じる人が多い部分かもしれません。

上の「税込給与総額」には、通勤手当・住宅手当・家族手当・夜勤手当・当直手当・看護職員処遇改善に係る手当が含まれます(時間外勤務手当は含みません)。また夜勤は三交代で月8回、二交代で月4回入った場合を想定した金額です。夜勤回数が想定より少ない職場では、この金額には届きません。いずれも月額であり、賞与は含まれていません。
出典 日本看護協会「2024年 病院看護実態調査」(日本看護協会調査研究報告 No.101・2025年3月公表/統計表38・39・40、表28・29)。全国の病院を対象とした調査で、給与に関する設問の回答病院数は3,061〜3,122件です。
手取りで考えると印象が変わることがある 年収が上がっても、夜勤回数が増えた結果としての増加であれば、時間あたりの単価はほとんど変わっていないこともあります。逆に、年収が横ばいでも夜勤が減れば時間あたりでは改善しています。金額だけでなく「何と引き換えに増えたか」をセットで見てください。

年収が上がる転職と、上がらない転職の分かれ目

転職すれば上がる、という話ではありません。実際には横ばい、あるいは下がるケースもあります。分かれ目はシンプルで、今より条件の良い「箱」に移れているかどうかです。

パターン年収への影響理由
規模の大きい法人へ移る上がりやすい賞与・手当の制度が整っていることが多い
夜勤の条件が良い職場へ移る上がりやすい夜勤手当は年収への寄与が大きい
専門性の高い部署へ移る上がることがある部署手当・資格手当が設定されている場合
同規模・同条件へ移る横ばい箱が変わっていないため構造的に上がらない
日勤のみ・クリニックへ移る下がりやすい夜勤手当がなくなる分がそのまま減る

最後の「日勤のみへ移る」は、下がると分かったうえで選ぶなら何も問題ありません。問題なのは、下がると気づかないまま決めてしまうことです。求人票の月給だけを見て応募し、入職後に賞与と手当の差で年間数十万円の違いが出ていた、という取り違えは珍しくありません。

求人票の「月給◯◯万円」は、多くの場合そこに夜勤手当が含まれていません。含まれている場合も、想定夜勤回数が明記されていないことがあります。比較するときは必ず年収ベース、かつ想定夜勤回数を揃えて並べてください。

求人サイトだけで探すと不利になる理由

自分で求人サイトを見て応募する方法は、手軽ですが2つの点で不利になります。

1. 求人票に書いていない条件が判断できない

実際の夜勤回数、部署ごとの残業の実態、産休・育休からの復帰実績、離職率。年収と働きやすさを左右するこれらの情報は、求人票にはほぼ載りません。載っていたとしても、それが実態と合っているかを個人で確かめる手段がありません。

2. 給与交渉を自分でやることになる

提示された条件をそのまま受けるか、自分で切り出すかの二択になります。在職中で時間が取れない状況だと、多くの人は前者を選びます。本来は交渉の余地があった条件を、交渉しないまま確定させてしまうのが、この方法の一番大きな損失です。

転職エージェントを使うと、この2つを代わりに担ってもらえます。担当者は同じ法人に何人も紹介しているので、求人票に出ない内情を持っていますし、条件交渉も本人に代わって行います。

相談先の種類と使い分け

看護師向けの相談先はいくつか種類があり、得意分野が違います。

種類向いている人特徴
看護師専門のエージェント年収を上げたい/条件を比較したい医療機関との付き合いが深く、求人票に出ない情報を持っている。交渉も任せられる
総合型のエージェント他職種への転向も考えている医療以外の選択肢も含めて相談できるが、看護の内情には弱い
ハローワーク地元で近場を探したい地域密着の求人がある。交渉の代行はない
知人の紹介職場の雰囲気を重視したい内情は分かるが、条件を断りにくくなる面がある

年収を上げることが目的なら、看護師専門のエージェントを2〜3社併用するのが基本形です。エージェントごとに付き合いのある法人が違うため、1社だけだとその会社が持っている求人の中でしか比較できません。求職者側の費用は無料で、料金は採用が決まった時に採用側が負担する仕組みなので、複数使うことによる金銭的な不利はありません。

合わない担当者に当たったら替えていい 希望を伝えているのに条件の合わない求人ばかり送られてくる、返信が遅い、といった場合は担当変更を申し出て構いません。それでも改善しないなら、その会社は使わずに他社に絞れば十分です。

動く前に、自分の適正年収を確かめる

ここまで読んで「では自分はいくらもらえるはずなのか」が分からないと、結局は動けません。そして、この基準を持たないまま相談に行くと、提示された条件が高いのか安いのかを判断できないまま話が進みます。

本サイトの年収シミュレーターは、職種・年代・希望する方向を選ぶだけで、適正年収の目安と、上げられる金額の幅、そしてその条件に合う相談先を出します。所要時間は30秒、登録もメールアドレスの入力も必要ありません。

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よくある質問

看護師の給与は平均するといくらですか?

日本看護協会の「2024年 病院看護実態調査」では、勤続10年・31〜32歳・非管理職という条件をそろえた場合、平均基本給与額が250,380円、平均税込給与総額が334,325円でした(回答3,122病院)。税込給与総額には夜勤手当・通勤手当・住宅手当などが含まれ、時間外勤務手当と賞与は含まれません。設置主体別に見ると、医療法人が321,891円、私立学校法人が377,683円で、月あたり約5.5万円の開きがあります。

看護師は転職すると必ず年収が上がりますか?

上がりません。年収は勤務先の規模・体制・夜勤の回数といった条件で決まるため、同じ条件の職場へ移るだけでは横ばい、日勤のみに変えれば下がることもあります。上がるのは、夜勤や手当の条件が今より良い職場に移る場合、または規模の大きい法人へ移る場合です。

転職エージェントは無料で使えますか?

求職者側は無料です。エージェントは採用が決まった時に採用側から報酬を受け取る仕組みのため、相談だけで費用が発生することはありません。

エージェントは1社に絞るべきですか?

2〜3社の併用が基本です。エージェントごとに付き合いのある法人が違うため、1社だけだとその会社が持っている求人しか見えません。複数使って比較したうえで、相性の良い担当者に絞り込むのが現実的です。

在職中でも転職活動はできますか?

できます。むしろ在職中の方が、条件が合わなければ断るという選択が取れるため交渉上は有利です。日程調整をエージェント側に任せられる点も、シフト勤務との相性が良い部分です。

ブランクがあっても相談できますか?

できます。復職支援に力を入れている法人や、教育体制を整えている職場を条件に含めて探せます。ブランクの長さと、復帰後にどの働き方を希望するかを最初に伝えておくと、話が早く進みます。