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看護師の給料は、都道府県でどれだけ違うのか。
47都道府県の実額と、基本給ランキングが当てにならない理由

公開: 2026年8月18日

地域によって給料が違うことは知られていますが、どこがどれだけ違うのかを47都道府県ぶん並べた表はあまり見かけません。条件をそろえた実額を並べると、順位そのものより「基本給の順位と実支給の順位が一致しない」という事実の方が、職場選びには効いてきます。

東京と宮崎で年間約88万円違う

日本看護協会の「2024年 病院看護実態調査」には、勤続10年・31〜32歳・非管理職と条件をそろえた看護師の月額給与が、都道府県別に出ています。年齢も経験年数も役職もそろっているので、ここに出る差は純粋に地域の差だと読めます。

区分基本給与額税込給与総額
最高(東京都)264,150円368,280円
全国計250,380円334,325円
最低(宮崎県)232,517円294,968円
最高と最低の差31,633円73,312円

税込給与総額で月73,312円、単純に12倍すれば年間約88万円の差です。ここで注目したいのは、基本給与額の差が31,633円しかない点です。つまり地域差の大半は基本給ではなく、そこに乗る手当で生まれています。

もうひとつ押さえておきたい事実があります。税込給与総額が全国計(334,325円)を上回るのは、47都道府県のうち17都府県だけです。30道県は全国平均を下回ります。「全国平均」という言葉から受ける印象より、実際に平均を超えている地域は少ないということです。

47都道府県の実額一覧

税込給与総額の高い順に並べます。いちばん右の列は、税込給与総額から基本給与額を引いた手当の額です。

順位都道府県基本給与額税込給与総額手当
1東京都264,150円368,280円104,130円
2神奈川県262,935円360,158円97,223円
3静岡県264,162円357,721円93,559円
4愛知県262,178円354,741円92,563円
5奈良県259,514円353,410円93,896円
6千葉県253,324円353,271円99,947円
7大阪府254,401円351,531円97,130円
8滋賀県262,652円349,123円86,471円
9埼玉県260,991円345,559円84,568円
10京都府248,795円343,462円94,667円
11兵庫県257,286円342,166円84,880円
12三重県259,677円340,019円80,342円
13岐阜県253,147円339,456円86,309円
14長野県258,767円337,736円78,969円
15群馬県244,630円337,486円92,856円
16福井県253,193円336,554円83,361円
17徳島県244,675円335,971円91,296円
18茨城県245,146円333,309円88,163円
19石川県251,878円333,267円81,389円
20宮城県249,495円332,670円83,175円
21山形県260,580円332,311円71,731円
22香川県256,014円328,362円72,348円
23北海道246,132円326,530円80,398円
24和歌山県248,435円325,950円77,515円
25栃木県245,312円325,700円80,388円
26山梨県259,511円325,611円66,100円
27島根県245,317円323,846円78,529円
28新潟県253,411円322,875円69,464円
29岩手県252,313円322,466円70,153円
30秋田県254,230円321,717円67,487円
31岡山県244,335円321,047円76,712円
32広島県242,791円320,780円77,989円
33鳥取県246,822円319,925円73,103円
34富山県249,816円319,548円69,732円
35福岡県239,509円318,871円79,362円
36福島県237,207円318,350円81,143円
37山口県247,434円317,664円70,230円
38沖縄県238,867円315,874円77,007円
39青森県241,869円314,135円72,266円
40愛媛県237,806円311,502円73,696円
41長崎県229,596円305,684円76,088円
42佐賀県235,697円304,345円68,648円
43大分県229,444円302,915円73,471円
44熊本県230,401円300,561円70,160円
45鹿児島県232,450円299,036円66,586円
46高知県230,475円297,676円67,201円
47宮崎県232,517円294,968円62,451円

基本給の順位は当てにならない

この表でいちばん実務的に効くのが、ここです。基本給与額の順位と、税込給与総額の順位は一致しません。ずれの大きい例を抜き出します。

都道府県基本給の順位税込の順位手当
群馬県33位15位92,856円
徳島県32位17位91,296円
京都府24位10位94,667円
山形県7位21位71,731円
秋田県15位30位67,487円
山梨県10位26位66,100円

山形県は基本給与額が全国7位なのに、税込給与総額では21位まで落ちます。逆に群馬県は基本給33位から税込15位に上がります。手当の額が山形県71,731円、群馬県92,856円と2万円以上違うためです。

手当の額そのものを見ると、最も多い東京都が104,130円、最も少ない宮崎県が62,451円。その差41,679円で、税込給与総額の地域差73,312円のかなりの部分を占めています。

求人票に書かれているのは多くの場合基本給です。この表が示しているのは、基本給の高さが実際の支給額の高さを意味しないということです。基本給が近い2つの求人でも、手当の設計次第で月2〜3万円変わります。比較するときは必ず、想定夜勤回数をそろえたうえでの税込ベースで並べてください。

それでも都道府県で選ばない方がいい理由

ここまで地域差を見てきましたが、実際の職場選びで都道府県を第一の軸にするのはあまり勧められません。理由は2つあります。

ひとつは生活費が入っていないことです。この調査の数値は支給額であって、家賃や通勤費の差は反映されていません。東京都が368,280円で最高でも、住居費の差を引いた後で宮崎県より有利かどうかは、この数字だけでは決まりません。

もうひとつは、同じ都道府県内の差の方が大きいことがある点です。同じ調査の設置主体別では、医療法人が321,891円、私立学校法人が377,683円で月55,792円の差があります。病床規模別でも、99床以下319,471円と500床以上367,565円で月48,094円の差です。都道府県間の最大差が73,312円であることを考えると、引っ越さずに動かせる条件の中に、同じくらいの幅があるということになります。

動かしやすい順に考える 都道府県を変えるのは生活ごと変える判断です。それに対して設置主体や病床規模を変えるのは、通勤圏内で完結することが多い。金額の幅がほぼ同じなら、動かしやすい方から検討するのが合理的です。設置主体・病床規模別の実額は看護師の年収を上げる転職とはにまとめています。
出典 日本看護協会「2024年 病院看護実態調査」(日本看護協会調査研究報告 No.101・2025年3月公表/統計表40、および統計表38・39)。全国の病院を対象とした調査で、勤続10年・31〜32歳・非管理職の看護師について、回答病院数は3,122件です。税込給与総額には通勤手当・住宅手当・家族手当・夜勤手当・当直手当・看護職員処遇改善に係る手当が含まれ、時間外勤務手当は含まれません。また夜勤は三交代で月8回、二交代で月4回入った場合を想定した金額で、いずれも月額であり賞与は含まれていません

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よくある質問

看護師の給料が最も高い都道府県はどこですか?

日本看護協会の「2024年 病院看護実態調査」で、勤続10年・31〜32歳・非管理職と条件をそろえた場合、税込給与総額が最も高いのは東京都の368,280円でした。次いで神奈川県360,158円、静岡県357,721円、愛知県354,741円と続きます。最も低いのは宮崎県の294,968円で、東京都との差は月73,312円、年間では約88万円になります。

全国平均を上回る都道府県はいくつありますか?

税込給与総額が全国計(334,325円)を上回るのは47都道府県のうち17都府県だけで、30道県は下回っています。一方、基本給与額で全国計(250,380円)を上回るのは21都府県あります。つまり基本給の段階では21あった「平均超え」が、手当を加えた段階で17に減る形になっており、手当の差が地域間の開きを広げています。

基本給が高い都道府県に行けば手取りも高いのですか?

一致しません。たとえば山形県は基本給与額が260,580円で全国7位ですが、税込給与総額では332,311円の21位まで下がります。逆に群馬県は基本給与額244,630円で33位ですが、税込では337,486円の15位に上がります。手当の額が山形県は71,731円、群馬県は92,856円と2万円以上違うためで、基本給の高さだけで職場や地域を選ぶと判断を誤ります。

地域差はどれくらい手当で説明できますか?

手当額(税込給与総額から基本給与額を引いた額)は、最も多い東京都が104,130円、最も少ない宮崎県が62,451円で、41,679円の差があります。税込給与総額の地域差が73,312円であることを踏まえると、地域差のかなりの部分が手当の差によって生じていることになります。

都道府県の順位が高い地域へ移れば得ですか?

金額だけでは判断できません。この調査の数値には生活費が反映されていないため、家賃や通勤費の差を差し引いて考える必要があります。また同じ都道府県内でも、設置主体や病床規模によって金額は大きく変わります。実際には都道府県よりも、どの設置主体・どの規模の病院で働くかの方が動かしやすい条件です。