東京と宮崎で年間約88万円違う
日本看護協会の「2024年 病院看護実態調査」には、勤続10年・31〜32歳・非管理職と条件をそろえた看護師の月額給与が、都道府県別に出ています。年齢も経験年数も役職もそろっているので、ここに出る差は純粋に地域の差だと読めます。
| 区分 | 基本給与額 | 税込給与総額 |
|---|---|---|
| 最高(東京都) | 264,150円 | 368,280円 |
| 全国計 | 250,380円 | 334,325円 |
| 最低(宮崎県) | 232,517円 | 294,968円 |
| 最高と最低の差 | 31,633円 | 73,312円 |
税込給与総額で月73,312円、単純に12倍すれば年間約88万円の差です。ここで注目したいのは、基本給与額の差が31,633円しかない点です。つまり地域差の大半は基本給ではなく、そこに乗る手当で生まれています。
もうひとつ押さえておきたい事実があります。税込給与総額が全国計(334,325円)を上回るのは、47都道府県のうち17都府県だけです。30道県は全国平均を下回ります。「全国平均」という言葉から受ける印象より、実際に平均を超えている地域は少ないということです。
47都道府県の実額一覧
税込給与総額の高い順に並べます。いちばん右の列は、税込給与総額から基本給与額を引いた手当の額です。
| 順位 | 都道府県 | 基本給与額 | 税込給与総額 | 手当 |
|---|---|---|---|---|
| 1 | 東京都 | 264,150円 | 368,280円 | 104,130円 |
| 2 | 神奈川県 | 262,935円 | 360,158円 | 97,223円 |
| 3 | 静岡県 | 264,162円 | 357,721円 | 93,559円 |
| 4 | 愛知県 | 262,178円 | 354,741円 | 92,563円 |
| 5 | 奈良県 | 259,514円 | 353,410円 | 93,896円 |
| 6 | 千葉県 | 253,324円 | 353,271円 | 99,947円 |
| 7 | 大阪府 | 254,401円 | 351,531円 | 97,130円 |
| 8 | 滋賀県 | 262,652円 | 349,123円 | 86,471円 |
| 9 | 埼玉県 | 260,991円 | 345,559円 | 84,568円 |
| 10 | 京都府 | 248,795円 | 343,462円 | 94,667円 |
| 11 | 兵庫県 | 257,286円 | 342,166円 | 84,880円 |
| 12 | 三重県 | 259,677円 | 340,019円 | 80,342円 |
| 13 | 岐阜県 | 253,147円 | 339,456円 | 86,309円 |
| 14 | 長野県 | 258,767円 | 337,736円 | 78,969円 |
| 15 | 群馬県 | 244,630円 | 337,486円 | 92,856円 |
| 16 | 福井県 | 253,193円 | 336,554円 | 83,361円 |
| 17 | 徳島県 | 244,675円 | 335,971円 | 91,296円 |
| 18 | 茨城県 | 245,146円 | 333,309円 | 88,163円 |
| 19 | 石川県 | 251,878円 | 333,267円 | 81,389円 |
| 20 | 宮城県 | 249,495円 | 332,670円 | 83,175円 |
| 21 | 山形県 | 260,580円 | 332,311円 | 71,731円 |
| 22 | 香川県 | 256,014円 | 328,362円 | 72,348円 |
| 23 | 北海道 | 246,132円 | 326,530円 | 80,398円 |
| 24 | 和歌山県 | 248,435円 | 325,950円 | 77,515円 |
| 25 | 栃木県 | 245,312円 | 325,700円 | 80,388円 |
| 26 | 山梨県 | 259,511円 | 325,611円 | 66,100円 |
| 27 | 島根県 | 245,317円 | 323,846円 | 78,529円 |
| 28 | 新潟県 | 253,411円 | 322,875円 | 69,464円 |
| 29 | 岩手県 | 252,313円 | 322,466円 | 70,153円 |
| 30 | 秋田県 | 254,230円 | 321,717円 | 67,487円 |
| 31 | 岡山県 | 244,335円 | 321,047円 | 76,712円 |
| 32 | 広島県 | 242,791円 | 320,780円 | 77,989円 |
| 33 | 鳥取県 | 246,822円 | 319,925円 | 73,103円 |
| 34 | 富山県 | 249,816円 | 319,548円 | 69,732円 |
| 35 | 福岡県 | 239,509円 | 318,871円 | 79,362円 |
| 36 | 福島県 | 237,207円 | 318,350円 | 81,143円 |
| 37 | 山口県 | 247,434円 | 317,664円 | 70,230円 |
| 38 | 沖縄県 | 238,867円 | 315,874円 | 77,007円 |
| 39 | 青森県 | 241,869円 | 314,135円 | 72,266円 |
| 40 | 愛媛県 | 237,806円 | 311,502円 | 73,696円 |
| 41 | 長崎県 | 229,596円 | 305,684円 | 76,088円 |
| 42 | 佐賀県 | 235,697円 | 304,345円 | 68,648円 |
| 43 | 大分県 | 229,444円 | 302,915円 | 73,471円 |
| 44 | 熊本県 | 230,401円 | 300,561円 | 70,160円 |
| 45 | 鹿児島県 | 232,450円 | 299,036円 | 66,586円 |
| 46 | 高知県 | 230,475円 | 297,676円 | 67,201円 |
| 47 | 宮崎県 | 232,517円 | 294,968円 | 62,451円 |
基本給の順位は当てにならない
この表でいちばん実務的に効くのが、ここです。基本給与額の順位と、税込給与総額の順位は一致しません。ずれの大きい例を抜き出します。
| 都道府県 | 基本給の順位 | 税込の順位 | 手当 |
|---|---|---|---|
| 群馬県 | 33位 | 15位 | 92,856円 |
| 徳島県 | 32位 | 17位 | 91,296円 |
| 京都府 | 24位 | 10位 | 94,667円 |
| 山形県 | 7位 | 21位 | 71,731円 |
| 秋田県 | 15位 | 30位 | 67,487円 |
| 山梨県 | 10位 | 26位 | 66,100円 |
山形県は基本給与額が全国7位なのに、税込給与総額では21位まで落ちます。逆に群馬県は基本給33位から税込15位に上がります。手当の額が山形県71,731円、群馬県92,856円と2万円以上違うためです。
手当の額そのものを見ると、最も多い東京都が104,130円、最も少ない宮崎県が62,451円。その差41,679円で、税込給与総額の地域差73,312円のかなりの部分を占めています。
それでも都道府県で選ばない方がいい理由
ここまで地域差を見てきましたが、実際の職場選びで都道府県を第一の軸にするのはあまり勧められません。理由は2つあります。
ひとつは生活費が入っていないことです。この調査の数値は支給額であって、家賃や通勤費の差は反映されていません。東京都が368,280円で最高でも、住居費の差を引いた後で宮崎県より有利かどうかは、この数字だけでは決まりません。
もうひとつは、同じ都道府県内の差の方が大きいことがある点です。同じ調査の設置主体別では、医療法人が321,891円、私立学校法人が377,683円で月55,792円の差があります。病床規模別でも、99床以下319,471円と500床以上367,565円で月48,094円の差です。都道府県間の最大差が73,312円であることを考えると、引っ越さずに動かせる条件の中に、同じくらいの幅があるということになります。
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よくある質問
看護師の給料が最も高い都道府県はどこですか?
日本看護協会の「2024年 病院看護実態調査」で、勤続10年・31〜32歳・非管理職と条件をそろえた場合、税込給与総額が最も高いのは東京都の368,280円でした。次いで神奈川県360,158円、静岡県357,721円、愛知県354,741円と続きます。最も低いのは宮崎県の294,968円で、東京都との差は月73,312円、年間では約88万円になります。
全国平均を上回る都道府県はいくつありますか?
税込給与総額が全国計(334,325円)を上回るのは47都道府県のうち17都府県だけで、30道県は下回っています。一方、基本給与額で全国計(250,380円)を上回るのは21都府県あります。つまり基本給の段階では21あった「平均超え」が、手当を加えた段階で17に減る形になっており、手当の差が地域間の開きを広げています。
基本給が高い都道府県に行けば手取りも高いのですか?
一致しません。たとえば山形県は基本給与額が260,580円で全国7位ですが、税込給与総額では332,311円の21位まで下がります。逆に群馬県は基本給与額244,630円で33位ですが、税込では337,486円の15位に上がります。手当の額が山形県は71,731円、群馬県は92,856円と2万円以上違うためで、基本給の高さだけで職場や地域を選ぶと判断を誤ります。
地域差はどれくらい手当で説明できますか?
手当額(税込給与総額から基本給与額を引いた額)は、最も多い東京都が104,130円、最も少ない宮崎県が62,451円で、41,679円の差があります。税込給与総額の地域差が73,312円であることを踏まえると、地域差のかなりの部分が手当の差によって生じていることになります。
都道府県の順位が高い地域へ移れば得ですか?
金額だけでは判断できません。この調査の数値には生活費が反映されていないため、家賃や通勤費の差を差し引いて考える必要があります。また同じ都道府県内でも、設置主体や病床規模によって金額は大きく変わります。実際には都道府県よりも、どの設置主体・どの規模の病院で働くかの方が動かしやすい条件です。