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公立と私立で、給料はどれだけ違うのか。
保育所・幼稚園・認定こども園を実額で比べる

公開: 2026年8月18日

「公立の方が給料が高い」というのは、この業界でよく言われる話です。国の調査の実額で確かめると、その通りである部分と、まったく逆になる部分が両方出てきます。しかも施設の類型によって、差の大きさが4倍以上違います。

常勤は公立が高い。ただし差は類型で4倍以上違う

こども家庭庁が5年ぶりに実施した「幼稚園・保育所・認定こども園等の経営実態調査」(令和6年度)に、施設類型ごとの公立・私立別の給与月額が出ています。まず現場の中心となる職位で比べます。

常勤の1人当たり給与月額(賞与込み)

施設類型・職種公立私立
幼稚園(新制度)・教諭404,537円
(勤続11.2年)
335,387円
(勤続9.2年)
+69,150円
保育所・保育士365,542円
(勤続10.6年)
348,119円
(勤続11.2年)
+17,423円
認定こども園・保育教諭346,376円
(勤続9.8年)
331,779円
(勤続9.8年)
+14,597円

常勤に関しては、3類型とも公立が上です。ただし差の大きさがまったく違います。幼稚園の69,150円に対して、保育所は17,423円、認定こども園は14,597円。幼稚園だけが4倍以上の開きを見せています。

ここで勤続年数の列を見てください。認定こども園は公立・私立ともに9.8年で完全に一致しています。条件がそろったうえでの14,597円差なので、これは制度そのものの差だと読めます。保育所は公立の方が勤続が短い(10.6年対11.2年)のに公立が高いので、こちらも実質的な差はもう少し大きいと考えられます。

一方で幼稚園は、公立11.2年に対して私立9.2年と2.0年の開きがあります。69,150円の差のうち一定部分はこの勤続差で説明される可能性があり、そのまま「公立に行けば月7万円増える」とは読めません。それでも、他の2類型と比べて突出しているのは確かです。

なぜ幼稚園だけ差が大きいのか この調査は理由までは示していないので断定はできません。ただ、公立幼稚園の教諭は地方公務員として給与表に沿って処遇されるのに対し、私立幼稚園は学校法人ごとに給与制度が異なります。同じ構図は認定こども園や保育所にもありますが、幼稚園ではその差が最も大きく出ている、という事実だけがここで確認できます。

非常勤は3類型すべて私立が高い

ここが、この記事でいちばん意外に映る部分かもしれません。同じ調査の非常勤を見ると、結論が完全にひっくり返ります

非常勤の1人当たり給与月額(賞与込み)

施設類型・職種私立公立差(私立−公立)
保育所・保育士243,404円190,521円+52,883円
幼稚園(新制度)・教諭233,511円191,232円+42,279円
認定こども園・保育教諭245,709円208,838円+36,871円

3類型すべてで私立の方が高いという、一貫した結果です。しかも差は36,871円から52,883円と決して小さくありません。常勤で公立が有利だったのとは正反対の構図になっています。

つまり、「公立と私立、どちらが得か」という問いに単一の答えはなく、常勤で働くのか非常勤で働くのかによって答えが逆になります。子育てや介護との両立でパート勤務を選ぶ場合、公立にこだわる理由はこの数字からは見つけにくいということです。

私立の非常勤の金額は、常勤と同じ勤務時間で働いたと仮定して換算した値です(施設が定める週の勤務時間をもとに算出)。実際の受取額は勤務時間に比例するため、この金額がそのまま支給されるわけではありません。あくまで時間あたりの水準を比べるための数字として見てください。

役職に就くと差はさらに開く

幼稚園については、役職別のデータも公表されています。教諭の段階で69,150円あった差が、上の職位でどうなるかを見ます。

職位(幼稚園・常勤)公立私立
園長658,303円541,709円+116,594円
副園長609,176円474,295円+134,881円
教頭603,556円458,151円+145,405円
主幹教諭560,145円436,666円+123,479円
指導教諭473,219円393,770円+79,449円
教諭404,537円335,387円+69,150円

教諭の69,150円から、主幹教諭で123,479円、教頭では145,405円まで開きます。上に行くほど公私の差が広がる構造です。長く勤めて役職を目指す前提で職場を選ぶなら、この開き方は判断材料になります。

ただし公立の場合、採用が自治体の公務員試験を経由する点は押さえておく必要があります。年齢制限や実施年度による募集の有無があり、私立から公立への移動は「転職活動」というより「受験」に近い性質を持ちます。

出典 こども家庭庁「令和6年度 幼稚園・保育所・認定こども園等の経営実態調査 集計結果<速報>」(2024年12月18日 こども家庭審議会 子ども・子育て支援等分科会 提出資料)詳細版①〜③。調査時期は令和6年8月中旬〜9月上旬、給与は令和6年3月分の月額に令和5年度賞与の1/12を加えた金額です。集計施設数は幼稚園(新制度)が私立841施設・公立1,164施設、認定こども園が私立2,240施設・公立923施設です。

結局どちらを選ぶべきか

ここまでの数字を整理すると、判断の軸は「公立か私立か」ではなく、働き方をどう決めるかに置き換わります。

希望する働き方金額で有利な方補足
常勤・幼稚園公立差69,150円と最大。ただし公務員試験の経由が必要
常勤・保育所/認定こども園公立(ただし差は小さい)14,597〜17,423円。処遇改善加算の取得状況の方が効くこともある
非常勤・全類型私立36,871〜52,883円。3類型すべてで私立が上
役職まで目指す・幼稚園公立教頭で145,405円差まで開く

保育所と認定こども園については、公私の差が1.5万円前後にとどまります。この規模であれば、公立か私立かよりも、処遇改善等加算をどれだけ取得・配分している施設かの方が効いてくる可能性があります。加算の取得状況は施設ごとに違い、求人票からは読み取れません。

この領域に強いエージェントは、施設ごとの加算の状況や賞与の実績、離職の状況といった、求人票に載らない情報を持っていることがあります。求職者側の費用は無料で、料金は採用が決まった時に採用側が負担する仕組みです。2〜3社を併用して比較するのが基本形になります。

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よくある質問

幼稚園教諭は公立と私立でどれくらい給料が違いますか?

こども家庭庁の「令和6年度 幼稚園・保育所・認定こども園等の経営実態調査」では、幼稚園(新制度)の常勤教諭の1人当たり給与月額は、公立が404,537円(平均勤続11.2年)、私立が335,387円(同9.2年)で、月69,150円の差がありました。単純に12倍すると年間約83万円の差になります。ただし平均勤続年数が2.0年違う点は考慮が必要です。

保育所や認定こども園でも公立の方が高いのですか?

常勤については3類型とも公立が高くなっていますが、差の大きさは大きく異なります。保育所の保育士は公立365,542円・私立348,119円で17,423円差、認定こども園の保育教諭は公立346,376円・私立331,779円で14,597円差です。幼稚園の69,150円差と比べると、保育所と認定こども園の差はかなり小さいと言えます。

パート・非常勤でも公立の方が高いのですか?

逆転します。非常勤では3つの類型すべてで私立の方が高いという結果でした。保育所の保育士は私立243,404円・公立190,521円で私立が52,883円高く、幼稚園の教諭は私立233,511円・公立191,232円で42,279円、認定こども園の保育教諭は私立245,709円・公立208,838円で36,871円、いずれも私立が上回っています。

役職に就いた場合の差はどうなりますか?

幼稚園ではさらに開きます。主幹教諭は公立560,145円・私立436,666円で123,479円差、園長は公立658,303円・私立541,709円で116,594円差でした。教諭の段階での69,150円差が、役職に就くと12万円前後まで広がる形になります。

この金額に賞与は含まれていますか?

含まれています。この調査の「1人当たり給与月額(賞与込み)」は、令和6年3月分の月額給与に令和5年度分の賞与の1/12を加えた金額です。なお私立の非常勤の金額は、常勤と同じ勤務時間で働いたと仮定して換算した値であり、実際の受取額は勤務時間に比例します。

公立に移るにはどうすればいいですか?

公立の場合、採用は自治体の公務員試験を経由します。年齢制限が設けられていることや、その年度に募集自体がないこともあるため、私立から公立への移動は一般的な転職活動とは進め方が異なります。募集の有無と受験資格を、志望する自治体ごとに確認するところから始める必要があります。